風早物部饒速日王国

十六八重菊紋・風早宮大氏神神紋

[第一章] 浄闇の御動座祭は鎮魂祭だ!

4. 世界の冬至祭

太陽の恵みは万国共通である。しからば世界に目を転じてみよう。最大の宗教団体と言えばキリスト教。この宗教の最大の祭りは、ご存知のクリスマスである。

実はこのクリスマスも冬至と関係が深い行事なのである。

古代のローマにおいては冬至の日に祭りを行い、その復活を盛大に祝っていた。ローマの暦、ユリウス暦が採用されたころはミトラ教が主流だったが、そこでは主神の太陽神ミトラが冬至に死に、即日または三日後に復活するという言い伝えがあったのだ。

その後、ミトラ教からキリスト教へと流れが変わるが、その際にミトラ教の祭日である十二月二十五日は、キリストの誕生日として継承された。これがクリスマスの起源と言われている。

お隣りの中国でも「一陽来復」の熟語が示す如く、太陽の祭りをしている。かの国では天地の祭祀を郊祀(こうし)という。その制度は前漢末にできあがり、天子だけが冬至に長安の都南郊の円丘で天神を祀り、また夏至には北郊の方丘で地祇を祀った。なにやら前方後円墳の原型を見る思いがする。

一方南半球インカ帝国のマチュ・ピチュ遺跡では太陽神殿に冬至の神座が現存し、ここで神官による聖火の採取が行われた。日本では、鎮魂祭続く新嘗祭がこれにあたる。いずれにしても、古代この日が太陽のパワーの復活に際して、陰から陽に替わる重要な世界共通の祭日だったのである。