平成21年壽秋 松尾大屋台新調記念対談「平成の御新造を終えて」
- 饒昇:
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提灯へのこだわりもあると伺っていますが。今回新屋台をデコレーションするにあたりデザインなどお聞かせください。
25年前旧屋台の完成に合わせて市内で初めて紅白の房を取り入れたのも松尾でした。その後、各屋台が真似をして4隅に房や今日では各提灯にも房を垂らすところが多い中で、松尾が今回あえて採用しなかったのはどうしてですか?
- 前田:
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やはりこの規模と彫金・木彫の豪奢な屋台ですので、これ以上、房など付属の装飾品を付けずに、本体そのものをご覧いただきたいという思いからですね。
- 饒昇:
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聞くところによりますと頭取は地下足袋でなく白足袋で上がらねばならないほど精巧なつくりらしいですが‥。
- 菅:
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これまでの屋台と違って、土足地下足袋履きはご遠慮願いたいですね。きついようですけど(笑)、頭取さんには白足袋着用で指揮を採っていただくことになろうかと思います。
- 前田:
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一般担き夫の皆さんも柔らかな綿の手袋をして担いでいただこうかと…
- 饒昇:
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棟梁のお考えでは、笹飾りもこの屋台では遠慮して欲しいとの思いもあるやに伺いましたが‥‥。
- 菅:
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私個人的には、これまでの規模の屋台と違いますので、地元で話がつくのなら遠慮して欲しいとの思いはあります。理由は笹を上げよると四本柱などに傷がつきます。本漆塗りで、笠木にあれだけの飾り金具も張っていますので、風早の伝統的な日の丸の笹飾りですが、この屋台一台があえて付けなくても、お心の広い氏神様(饒速日尊)ですから、お許しいただけるものと思いますが、地元の意向はいかがですか。
- 前田:
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やはり年配の方には根強い反対があります。そういう方が今夜の内覧会には来てくれていないんですよ(苦笑)。これを目の当たりにして、棟梁の思いを直に(伊予弁:ダイレクトに)聞いてくれたら、また頭も柔らかくしていただけるのではと期待していたのですがね。
- 饒昇:
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来る秋祭りでは風早宮大氏神宮出しに際して、観衆があっと驚く仕掛けやサプライズがあるそうですが、この対談の公開は当然祭り上げになりますので、その構想を菅棟梁、教えていただけないでしょうか?
- 菅:
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構想ね?もう正直僕の考えは、棒端の4隅からライトでも当てて本体を照らしたいなと思っています(平成22年の秋祭りで実現)。これから皆でいろいろな付属品を着けたりやアイディアを出し合っていったらええわいね。ただ本体は傷つけんように他からデコレーションするといった気配りをずっとしていって欲しいと思います。