平成21年壽秋 松尾大屋台新調記念対談「平成の御新造を終えて」
- 饒昇:
-
そうしますと素材にまずこだわって伊勢神宮のお膝元まで出向かれて、最高の良質な欅や桧を求められて、さらに風早屋台の伝統を重視しながらも、今までにない斬新さも追求していかれたわけですね。
- 菅:
-
そうです、全国各地の屋台や太鼓台の資料を取り寄せて研究もいたしました。
- 饒昇:
-
本体は総桧つくりですか?
- 菅:
-
そうです、泥除けと土台の台車が総欅つくりとなっています。
- 饒昇:
-
漆塗り師、彫金師、彫刻師の方々も現代の名だたる名工が関わったとお伺いしましたが、ご芳名とどちらの方か教えてください。
- 菅:
-
彫金師と彫刻師は、讃岐一刀彫り・香川県伝統工芸認定士の上野彫刻所(香川県仲多度郡まんのう町佐文)の上野俊之さんです。漆塗り師は高松市多賀町1丁目10-8の株式会社 上田漆器工業所代表の上田壽一さんにお願いしました。初めはね、お話し持って行ったら、こんな大きい屋台はしたことないので、できないと断られたんですよ(笑)。
- 饒昇:
-
あちらも豊浜、観音寺など西讃地方ではチョウサと呼ばれる豪華な太鼓台がありますけど、規模的には今回のような大屋台は経験がなかったわけですね。
- 菅:
-
はい。そう言われて、最初は二の足を踏まれていたのですが、何とか説得して「やってみようわい」ということでお引き受けくださいました。正直相当のプレッシャー、気遣いがあったと思います。
- 饒昇:
-
当代の名工の作と言えますね。
- 菅:
-
こちらから全部材料を持っていって彫刻してもらいました。金メッキ自体は京都ですが‥。今現在は、向こうから出張して共に総仕上げの組み立てを行っているところです。ちなみに、この本体の土台
框 又中梁 の唐草彫りは私の作ですよ(笑)。