平成21年壽秋 松尾大屋台新調記念対談「平成の御新造を終えて」
- 饒昇:
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前田委員長に伺います。通常の屋台ですとまあ、1年余りもあれば完成してしまいますよね。今回待ちに待った屋台の完成、4年は待ちどうしかったことでしょう。屋台製作委員会として、どのようなお心持ちでいらっしゃいますか。
- 前田:
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そうですね。町会の意向を最大限汲み取っていただきながら、足掛け4年かけたのも棟梁のこだわり。目に見えないまた筆舌に尽くしがたいご苦労があって、ここまでの立派な屋台が完成したことを心からうれしく喜んでおります。
- 饒昇:
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そうしますと、あくまで菅棟梁にお任せして、時間も、金にもいとめをつけないから、前代未聞の後々に文化財指定を受けるようなすばらしい匠の屋台がここに完成したということでしょうか。前田さん。
- 前田:
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そうですね、菅棟梁がのびのびと屋台に思う存分精魂傾けられるよう、町会としては、なるたけ制約を外して、後方から環境を整える支援をして参りました。しかし、あくまで棟梁自身の一世一代、この屋台に傾ける情熱やこだわりがあってのことです。
- 饒昇:
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こうした全幅の信頼を受け、一方で市内有数の祭りどころの松尾ですから、棟梁としても職人冥利に尽きるでしょうし、逆にかなりのプレッシャーもあったのではないですか?
- 菅:
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何度か屋台製作委員会にも参りましたが、さほど、ああしろこうしろと、注文をつける人もなく基本的に「菅さんに任す」ということで、プレッシャーはなかったですね。
- 前田:
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中ほどで多少こうしたい、ああしたいと要望も役員から出てきはしたんですが、立花区長(当時)が「地元としての構想をお伝えしている以上、それを形にしてくれるのが匠の技じゃろが。素人がとやかくいうな!」と一喝したこともありましたね(笑)。
- 饒昇:
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そうすると棟梁も非常にやりやすかったわけですね。
- 菅:
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そうです。