平成21年壽秋 松尾大屋台新調記念対談「平成の御新造を終えて」
- 饒昇:
-
笠木の周囲(台輪雲彫り)にも、さらに雲を掘り込み、4隅と側面センターには木鼻(きばな)として阿吽の狛犬が守護しているのも神社建築の手法ですね。
- 菅:
-
はい、やはりこの高欄の中心にはそこそこの氏子町の神々が宿っている(
神座 )と思うんです。だから随所に神使いの獅子を配置して邪気を祓い神の空間としての威儀を高らしめるようにしました。 - 饒昇:
-
博多祇園山笠では古式を守り、毎年宮司が各山笠に御神入れをする行事が行われています。これによって山笠は御神体にみなされます。この屋台も10月4日には御霊入れの神事(入魂式)を行います。
- 饒昇:
-
雲板には風早宮大氏神のもう一つの御神紋の「右巴」の彫金が施されていますね。
- 菅:
-
この巴の渦巻きが何を表しているかについては、水が流れる様子を表している説や雷の稲光を象ったとする説、雲を表したものなど諸説ありますが、いずれにしても五穀豊穣に欠かせない恵みの水への祈りを込めています。
- 饒昇:
-
松山市は毎年渇水に悩まされていますから、尚更ですね。ところで台車正面の「
端閂 」も岸和田風の意匠でロープを掛けて引く時にも便利ですね。 - 菅:
-
そうよ、これもよかろ。