平成21年壽秋 松尾大屋台新調記念対談「平成の御新造を終えて」
- 饒昇:
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十二支は通常生まれ年を当てはめますけど、他方で「干支」とも言われるくらい、12ヶ月の1年も表す「時の単位」ですから、正月から大晦日までのときの移ろいの中で、また新たな歳を重ね、新年を迎えるこの無限のサイクルを表現したのは見事です。このことは風早宮大氏神の宮出しから宮入り・神輿落としに至る「再生と復活」の神事ともオーバーラップしますね。発想がすばらしいです。
- 饒昇:
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(本体に眼を移して)これ確かに3畳くらいの部屋の大きさありますね。
- 菅:
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あるね、ほいで(伊予弁:それでもって)赤い絨毯張ってみたんよ。
- 前田:
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一段とゴージャスになりました。
- 饒昇:
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天皇陛下でもお座りいただけますね(笑)。
- 菅:
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次のセールスポイントはこの台車です。見てくれも先ほどのお話ではないですが戦車のようにがっちりしますし、安全面も考えて泉州岸和田式の土台を装着しました。これなら人を巻き込むことも、足をしゃぐ(伊予弁:挟まれる)こともなかろ。
- 饒昇:
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確かに(頷く)。
- 菅:
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発電機もこの台車中央内部に格納するスペースを設けることができました。
- 饒昇:
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見てくれが(伊予弁:外見が)いいですね。
- 菅:
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ほやから私としては、これから各町屋台が造替のおりには、小さくともこういった台車式にされたら安全対策向上つながると思います。
- 饒昇:
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この4隅の台車止めが、また格好いいですね。
- 菅:
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よう見てくれた!本邦初公開よ。やはり傾かないから危なくないし、提灯も水平なほうが見栄えがしょう。それで付属品として、松尾神社の御神紋も入れて製作してみました。
- 饒昇:
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この朱塗りの高覧も凝ってますね。
- 菅:
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従来の
擬宝殊高欄 は前後正面に鳥居のように左右に立てて残し、新たに4隅は西条の屋台風に蕨手刎高欄 を採用しました。これも風早の屋台では初めてのことなんですよ。 - 饒昇:
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従来の規格では子供の頃から「4本棒」と呼んでいましたけど、この1.8メートルの規模になるとまさしく「四本柱」ですね。
- 菅:
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そうよね。さらに豪奢に昇り竜を這わせ天を衝いています。
- 前田:
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そしてそれを受ける笠木も重厚なつくりで、こうなると讃岐ちょうさ太鼓台のようにまさしく雲天井(雲板)と呼ぶにふさわしい代物となっていますね。
- 饒昇:
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垂木部分を広く取り、群雲を彫刻していますね。四本柱の昇り竜が天を目指して行き着く先には高天原に瑞雲たなびき、稲光と共に恵みの雨をもたらしてくれるよう、神への祈りが現れているようです。
- 前田:
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そして五穀豊穣、今年も豊作で日本一の祭りができるというわけなんです。
- 饒昇・菅:
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はいはい、なるほど。