平成21年壽秋 松尾大屋台新調記念対談「平成の御新造を終えて」
- 饒昇:
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屋台の大きさを本体とかき棒に分けて教えてください。
- 菅:
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屋台本体が、正面横幅 2.5メートル(スラシ入れると2.624メートル)、側面縦幅2.85メートル(受け台車を入れると3.705メートル)、高さ4.4メートル(地面から笠木天まで)です。かき棒は、長さ 18 メートル、直径は太いところで 26センチです。
- 饒昇:
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他の屋台の担き棒長さは、通常はどのくらいですか。
- 前田:
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14から15メートルですね。棒の長さの単純比較だけでも、いかに新屋台が大きいいかがわかります。
- 饒昇:
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確かに。私の職場の同僚は『松尾の新調屋台は戦車みたいな大きな屋台なんやてなあ』と前評判を伝えてきましたよ(笑)。ところで担き棒はどこ産ですか。
- 菅:
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愛媛県の久万山からです。昨年平成20年の秋に見に行って、12月に伐採して今年21年の春に持って帰りました。国道33号の山道を相当苦労して二本の大木を運搬して帰りました。普通は老杉でも上が竹の子みたいになっていて先が細く18メートルの担き棒はとれないのです。
- 前田:
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当町(中西外区)の所有林が高縄山にあるのですが、先祖代々屋台の担き棒用にと管理に努めてきましたけど、今回の規格にはまだまだほど遠い状態で、久万山から御用材を調達してきました。これも棟梁の目利きと人脈です。
- 菅:
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久万高原町の人もこんな大木見たことないと言うくらいで、トレーラーで運ぶのも一苦労でした。誰ばり(伊予弁:誰彼)ではよう運びませんね。運送屋さんもよう受けてくれたんよ(伊予弁:よくもまあ、請け負ってくれたものですよ)。
- 饒昇:
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次に、ここが松尾新調屋台のセールスポイントといったところを何点か現物を指し示しながら挙げていただきたいと思いますが。
- 菅:
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まずこれからの屋台は、風早にあっても彫刻、彫金の時代になると確信しています。
したがって、これだけの側面の長さを生かそうと思ったときに、側面に4つ毎、正面に2つ毎で合計12個の空間が取れるわけですよ。それで12支(干支)の彫り物を思いつきました。縁起物ですからね。
従来の屋台は正方形に近かったのです。これからは長方形になっていくのではないでしょうか。