風早物部饒速日王国

松尾大社御神紋:二葉葵 抱き菊の葉に菊 松尾神社御神紋:折敷に縮み三文字

入魂・お披露目式の模様

まるで動く陽明門、待望の松尾大屋台が新調、入魂式…松尾神社

新調屋台 入魂式神事=松山市中西外、松尾神社前広場

新調屋台 入魂式神事=松山市中西外、松尾神社前広場

「風早の火事祭り」(毎年体育の日を含む3連休に斎行)で知られる松山市北条エリア(旧風早郡)の総鎮守・国津比古命神社・櫛玉比賣命神社の境外末社である松尾神社付近の広場(中西外区)で4日、中西外区が27年ぶりに新調した屋台の入魂式(御霊入れ神事)が行われた。にぎにぎしく据えられた大人、子供2台の屋台前に御神床が設えられ、同日午後2時から行われた神事では、松尾神社の井上忠史宮司(風早国造神主・物部神裔)により、新調屋台に松尾大神の御霊が遷され、厳かに祝詞が奏上された。続いて立花幹夫中西外区長(70)により玉串奉奠がなされ、参会者一堂で拍手を打って新調屋台の完成を祝い、また安全運行を祈願した。

続いて大工方棟梁を務めた菅建設の菅 博(53)さんらに感謝状が贈られた。歴代区長など代表者により威勢よく酒樽が開かれ、3俵の餅も撒かれるなど区内は終日祝賀ムードに包まれた。

新調屋台の大きさは先代の2倍近くに大型化。その豪奢な装飾とともに松山市一の別格大屋台となった。安全対策や重厚さを工夫して泉州地車のように台車に本体を載せる工法を初めて導入したり、幕板・さらに二段の水切り板の上に日光東照宮の陽明門と見紛う精緻な木彫を施し、さらに四本柱の差込口については、賢くも京都御所で天皇陛下が即位の礼で玉座となされた「高御座(たかみくら)」の形式を取り入れ「八角形」にするなど、風早の屋台の伝統的形態を踏襲しながらも、新たな工夫も随所に凝らした。愛媛県久万山から切り出された御用杉による担き棒や子供屋台、屋台奉擱庫も新調。総額は3500万円を超えるといい、前田 勝屋台製作委員長(48)は「風早の屋台祭礼文化史に遺る豪華絢爛なダンジリが完成した」と胸を張る。

本番さながらの熱気で練り歩く新調屋台=松山市中西外

本番さながらの熱気で練り歩く新調屋台=松山市中西外

神事を終えた松尾氏子たちは、区内をお披露目方々試験曳きしたあと、風早宮大氏神へ初参宮。統一練り会場の正岡小学校グラウンドでも差し上げなどのリハーサルが行われた。日曜日とあって沿道には多数の住民が待ち並び、屋台の通過を拍手で迎えた。

松尾宮総代(41)は「住民全員が、協力して作り上げた屋台。構想10年、着工以来3年が経過し、この間4代の区長が継承してきた一大事業。残念ながら完成を待ちきれず鬼籍に入られた方もおり、万感胸に迫るものがある。このダンジリは町会のシンボルであり、本番では祭りどころである松尾の意地と意気込みを見せてもらいたい」と話していた。