[第1章]風早國造神主講演録・遺稿集
未来を担う風早の若者たちへ - 君達には物部氏の血が流れているんだ! - 正しい秋祭りの継承を願って
14 神輿は肩に担ぐのが本来です
司会(塾長)
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なかなか、毎年同じようなことをしよるんだけど、それにこういうような意味があるとか、そういうようなことはまったく知らずに……。ただちょっと、「渡御道」というんですか、あれは松島の自転車屋さんの横ですか。ちっちゃな道があって、祠みたいなものがあるんですけど、あの道が渡御道で、あそこからまっすぐ。
井上宮司
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そうです。あの細い道。ですから先ほど言ったように、あそこにお御霊が揚がりまして、その次にどこに行ったかというと、細い道を通って箱宮さんというのがあります。これは信岡さんの土地なんです。そこで仮に置くわけです。それで箱宮社というのができる。それでそこのところを通ったから、必ずその道を通らなくてはならないということになっとったわけです。でも今は、恐らく通ってないんじゃないですか。
司会(塾長)
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通っていないと思います。
井上宮司
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狭かったんです、道が。難儀して通って。たとえば、上辻の松岡先生のところがありますが、今はちょっと広くなってますが、前なんか本当に狭かった。町中なんかは本当に狭いんです。それで曲がっている。そうしますと、今のお神輿はちょっと小さいですが、前のお神輿は大きかった。だから回り切らんのです。でもどうしても回らんといかんでしょ。そうしますと四苦八苦するわけです。軒の瓦を落としたりしますんで。そうかといって、お神輿は通ってもらいたいし、瓦は壊してもらいたくないし。それはもう本当に困ったですよね。今はもうたいてい大きい道だけでしょ。今はお神輿が2つですけれども、1つだけはかきますが、1つはトラックで運びますよね。でも私はお神輿というのはトラックなんかでかくもんじゃないんだと。
先ほどは触れませんでしたが、お神輿は神聖なものです。神様を乗せているんですから、これを肩に乗せてかくもんなんです。だから私は、「神社ではどこまで行こうと車は用意しません。」と言うんです。もしあなたらがようやらんのだったら、あなたらが車を用意しなさいと。そして渡御しなさいと、私は申し上げるんです。そうしますとやっぱり、1つだけはかきますね。最初はここにおって、1台だけ担いでおって、向こうは運ぶとか、そういうことをやってますね。やはりお神輿というのは担ぐというのが本来だということを、皆さんご承知ではないかと。今頃はもう、皆さん弱りましたからね、肩も。それに今はだんじりがそうでしょ。前ごろは、だんじりというのは下に車がついたものはなかったでしょ。
たしかに、あれだけ半鐘を叩き、太鼓を叩き、チャンチャンいうんですから「火事祭り」とも言いたくなるんですよね。それでもいいことはいいわけですよね。でも本来の意味を知っておかないといかんですね。
司会(塾長)
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そしたら、今日は宮司さんに来ていただきまして、毎年毎年しよるお祭りなんですが、こういうようないわれや意味があってやっていくのだというようなことを聞きました。最初の方はなかなか難しい話が出てきて、これ分かるんかいなと思いよったんですが、後の方になって、今日のテーマでもあります「秋祭りがやってきた」というような雰囲気で楽しく聞くことができました。本当にありがとうございました。
進行(事務局長)
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では、以上をもちまして、本日のお話を終わりにさせていただきます。ありがとうございました。