風早物部饒速日王国

物部氏之事

第一章

[第1章]風早國造神主講演録・遺稿集
未来を担う風早の若者たちへ - 君達には物部氏の血が流れているんだ! - 正しい秋祭りの継承を願って

12 御神体争奪戦を勝ち抜いた者の御利益

参加者

夕方になったら宮入りのときに神輿を落とす。そして2、3回投げたあと、お御霊が出てくらいね。それを目がけて皆が取り合いにならいね。あの御霊を取った人は何かおかげがあるんですか。

井上宮司

おかげがあると言うしに(風早方言:「言うよりも」の意)、なんて言うんですかね……。石鎚さんにお参りしたことあります?石鎚さんにお参りすると3体のご神体がありますね。その3体のご神体を自分の身体にすりつけたり、人がいただかせてくれたりしますでしょ。それと同じなんです。ただそれを、あれ(風早宮大氏神のご神体)は、かなりごついですから、御霊の箱は。それに鍵が掛かっていますから絶対に開きません。大きいまさかりか何かでガンとやれば割れましょうが、なかなかそうはやりませんし。でもお御霊には間違いない。そのお御霊を自分の身体にすりつけるというかいただくというか、それをいただいて、先ほど言ったように神様のご神威、ご神徳を自分がいただくと、こういうことなんですね。それをいつまででもというわけにはいかんわけでして、しまいには御殿のほうに持ってくるわけですね。

でもそれはあくまでも、「よし、わしゃ元気だからやってやろうわい」というのがあるのかもしれませんが、純粋な気持ちとしては、神様を自分の身体にいただく。石鎚さんと同じで、自分の身体にすりつけて、ご神徳をいただくというのが、これが素直な純粋な気持ちじゃないかと、私は思います。 

だから、上まで持ってきますと、「はい、ありがとう、ご苦労さん」と言いますと、手を叩きますからね。そういうところをみると……。今の時代ですから、神様なんてと言うかもしれませんが、私はやっぱり神様というのはあるんだ。やっぱり神様のおかげをいただくんだという気持ちは、私はあるんじゃないかと思います。

先ほどお話ししましたように、お神輿を転がして、お御霊が出るまでやりますからね。そんなのは全国にないですよね、ここだけですね。